2013年3月29日金曜日

病院の待ち時間はモバイルで表示するのが正解!



前回、「病院予約システムの待ち時間表示の注意点」という記事で、病院予約システムにおける待ち時間表示の重要性と、その計算方法について書きました。今回は、その計算された待ち時間をどのように患者さんに伝えるのが良いのかについて書いてみたいと思います。

待ち時間を伝える方法は2種類あります。1つ目は、待合室にディスプレイを設置し「院内表示パネル」で患者さんに伝える方法で、もう1つは患者さんそれぞれの「モバイル端末(携帯電話・スマホ)」で待ち時間を表示させる方法です。

これまでの常識的には、前者の院内表示パネルのほうがわかりやすくて便利そうな気がするかもしれません。しかし私は、後者のモバイル端末による表示こそ病院・クリニックが利用すべき「待ち時間表示」の方法だと考えています。なぜならば、パネル表示では「全体の待ち時間」はわかっても「各個人の待ち時間」がわからないこと、また、患者さんは「院内」だけでなく「外に居ても」も自分の待ち時間を知りたいはずだからです。

まず、「全体の待ち時間」と「個人の待ち時間」についてです。

院内表示パネルの場合、表示させる内容はすべての患者さんに共通ものにせざるを得ません。そのため表示できる内容は限られてしまいます。オーソドックスなものは下記のような「現在の呼び出し番号」「待ち人数」「待ち時間」だと思います。






患者さんはこれを見て、自分の番号が何番目だから、だいたい何分待ちだと個別に計算する必要があります。もちろん無いより良いですが、「患者目線で、よく考えられている仕組み」だとは言えないと思います。


次に、院内だけでなく、院外でも待ち時間を知りたいという点についてです。

当たり前ですが、病院内のパネルは院内でしか見られません。一度外出してしまうと患者さんにはリアルタイムで状況がわからないため、受付の方が呼び出したのに不在だったり、早く戻ってきすぎて結局院内で長時間待ったりすることになります。

一方、患者さんが持っているモバイル端末に表示させることができれば、患者さんが自分が知りたいタイミングで、自分の待ち時間をリアルタイムで知ることができます。さらに「もうすぐ診察お知らせメール」の仕組みと併用することで、患者さんが「これは便利だ!」と感動していただけると思います。

患者さんの目線から補足するとすれば、以下のようにも言えます。病院・クリニックでの30~60分の待ちはよくあることなので、患者さんは予定時刻までは院外ですごしたい、家で待機していたいというふうに考えているということです。逆にいうと「できれば診察直前にクリニックに入る(戻る)」というのが患者が望んでいることなのです。

院内パネルだけでは、この本当の気持ちに応えることができません。また、もし患者さんがモバイルで確認して、クリニックに直前に戻ってこれる仕組みがあるとしたら、戻ってきた時に院内ディスプレイに表示されているのは「もう自分に必要のない待ち時間」ということになります。なぜなら、すぐ呼び出されるのはわかっているのですから・・・。

今回ご紹介した考え方は、残念ながら病院予約システムの世界ではまだメジャーでありません。やはり多くの方が一番に思いつく待ち順の表示方法は、銀行や役所などで見慣れてるディスプレイ方式でしょう。しかし、ほとんどの患者さんが携帯電話を持つこの時代、待ち順・待ち時間のモバイル表示は、今後こうならざるを得ないトレンドになると私は考えています。

10年前はまだしも、これからは「モバイルで個人が待ち時間を確認できる仕組み」が大きな柱としてあり、それを院内パネルが補完する(もしくは無くても問題ない)時代がくると思います。患者さん目線で、クリニックをより良くしたいとお考えの開業医の皆さまには、ぜひ一度考えていただきたい内容です。

それではまた、次回のエントリーで。
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